Photoshopのトーンカーブを「なんか難しそう…」「どう使えば良いの?」と、苦手意識のある方は多いのではないでしょうか。
本記事では、初心者の方向けに「トーンカーブ」の基本的な使い方から応用までを初心者向けにわかりやすく解説します。
トーンカーブの出し方
photoshopのトーンカーブを使う前に、そもそもトーンカーブが「表示されない」「どこにあるの?」と、困った方は多いのではないでしょうか?
実はトーンカーブは初期状態では表示されておらず、こちらで表示させる必要があります。
「調整レイヤー」から表示する場合(後で編集可能)
上部メニューバーの ❶「レイヤー」> ❷「新規調整レイヤー」> ❸「トーンカーブ」の順に選択して表示します。
レイヤーパネルに調整レイヤー(トーンカーブ)が追加されるので、(プロパティが表示されていない場合は)左のサムネイルをダブルクリックして、表示された画面で補正を行います。
「メニューバー」から表示する場合(画像を直接補正)
上部メニューバーの ❶「イメージ」> ❷「色調補正」> ❸「トーンカーブ」の順に選択して表示します。
ショートカットキー
- の場合は、⌘ + M
- の場合は、Ctrl + M
メニューバーから補正を行う場合、画像を再度編集することはできませんが、あらかじめ画像をスマートオブジェクトに変換しておくことで後で編集が可能になります。
手順としては、トーンカーブで補正をする画像を、
❶「右クリック」>「スマートオブジェクトに変換」を選択
その状態で❷メニューから「トーンカーブ」を出すとスマートフィルターが適用される(配下にレイヤーが追加)
❸追加されたレイヤーの内「トーンカーブ」レイヤーをダブルクリックすることで、いつでも補正が可能になります。
トーンカーブの見方
トーンカーブの設定画面は、斜めに線が走っていたり後ろにグラフやスポイトが並んでいたりと、多機能で便利な分、初心者の方にとっては非常にとっつきにくい画面に見えてしまいます。
斜めに走る線は何?
トーンカーブは基本的に、この斜めに走る線(トーンカーブ)を操作して画像補正を行います。
そしてこのトーンカーブは、以下のように「操作する場所」と「動かす方向」により補正内容を細かく調整することができます。
トーンカーブの右上が画像の「ハイライト」部分、左下が「シャドウ」部分です。
線上をクリックするとポイントが打たれ、そのポイントをドラッグすることで画像の補正が行われます。
後ろのグラフは何?入力と出力って?
トーンカーブの後ろにあるグラフは「ヒストグラム」と言い、その画像内のピクセルの明るさの分布を表しています。
「横軸」は入力(元の画像の明るさ)、「縦軸」は出力(調整後の画像の明るさ)です。
これらの数値は通常、0から255の範囲の整数で表され、一般的なグレースケール画像の場合「0」は完全な黒を「255」は完全な白を表します。(初期状態では、入力と出力は同じ値になる)
そして、「左端」は暗い部分、「右端」は明るい部分を表しています。
例えば、こちらの全体的に明るい写真は、ヒストグラムの右側が高くなっています。
右側の突出して高くなっている部分は背景の白色部分です。
こちらの全体的に暗い写真は、ヒストグラムの左側が高くなっています。
左側の突出して高くなっている部分は背景の黒色部分です。
全体的にシャドウとハイライトが弱い場合は、ヒストグラムの真ん中が高くなっています。
メリハリが少ないこのような写真を「眠い」写真と表現する場合もあります。猫ちゃんも眠そうですね。
ヒストグラムを活用するメリットは以下のとおりです。
- コントラストの確認 : ヒストグラムの範囲が画像のトーン範囲全体に広がっているかどうかを確認できます。左右の端にピクセルが集中している場合、画像がコントラスト不足か過剰である可能性があります。
- ハイライトとシャドウの確認 : ヒストグラムのピークや尾の位置を見ることで、ハイライトやシャドウの部分がどれだけ強調されているかが分かります。トーンカーブを調整してこれらの部分を適切に設定することで、画像の重要な部分を引き立てることができます。
- 白飛び と 黒潰れ の確認 : ヒストグラムの右端が切れている場合、画像の白飛びであり、左端が切れている場合は黒潰れである可能性があります。トーンカーブを調整して、トーンの範囲を最適化できます。
- カラーバランスの確認 : RGBヒストグラムを見ることで、各色チャンネルのバランスを確認できます。特定の色が飽和している場合、トーンカーブの調整によって色のバランスを調整することができます。
スポイトは何に使う?
Photoshopのトーンカーブにある3つのスポイトは、それぞれ画像の特定のトーン範囲を指定し、トーンカーブを調整するために使用されます。
- 黒いスポイト :
- 使用シーン : 暗い部分の調整
- 具体的な使用例 : 画像の暗い部分が詳細に見えない場合、あるいはコントラストが不足している場合に、このスポイトを使用してトーンカーブで暗部を強調調整します。
- 灰色のスポイト :
- 使用シーン : 中間トーンの調整
- 具体的な使用例 : 画像の中間トーンがフラットであり、深みを加えたい場合に、このスポイトを使用してトーンカーブで中間トーンを微調整します。
- 白いスポイト :
- 使用シーン : ハイライトの調整
- 具体的な使用例 : 画像の明るい部分が過剰に白飛びしている場合やハイライトの詳細が欠けている場合に、このスポイトを使用してトーンカーブでハイライトを調整します。
指のマークは何?
トーンカーブの設定画面の端にある「指マーク」は、正確には「画面セレクターの表示切り替えボタン」と言い、トーンカーブ上で直接的に色やトーン範囲を選択(ドラッグ)し、調整を行うツールです。
指マークを選択した状態で画像の上を移動すると、その部分の現在のトーンを確認することが可能です。
さらに任意の場所で上下にドラッグすることで、明るさやトーンなどを直接調整することが可能です。
以下の例は背景の黒のトーンを直接ドラッグして上げています。併せてトーンカーブも変更されていることがわかりますね。
レベル補正との違いは?
レベル補正とは、主に画像のコントラストを最適な状態に調整するための機能です。
次のように、画像の中で最も暗い(ブラック)部分から最も明るい(ホワイト)部分までのトーン範囲を調整することで、コントラストを向上させ、画像をより鮮明で引き締まったものに仕上げます。
レベル補正で「ハイライト」と「シャドウ」の範囲を調整することで、コントラストが強調されて画像全体が引き締まりましたね。
でも実は、トーンカーブの設定画面でもレベル補正と同じ操作をすることができます。
次の画面はトーンカーブの設定画面です。
トーンカーブの下部にある、ブラックポイントやホワイトポイントを調整することで、全体的なトーンを均一に変更できます。
ここで疑問に思うのが「どちらを使えば良いの?」ではないでしょうか。
結論は、結果が同じなので「どちらを使っても良い!」です。
トーンカーブの基本的な使い方
トーンカーブをうまく活用することで、画像を「明るく / 暗くする」ことや「コントラスの調整」「色の調整」など様々な補正を行うことができます。
明るくする / 暗くする
トーンカーブで画像の「明るさ」を調整する場合は、トーンカーブ中央にポイントを打って、
基準線より上にドラッグすると、「明るく」なります。
基準線より下にドラッグすると、「暗く」なります。
コントラストを調整する
コントラストが強い画像とは、「ハイライト部分がより明るく、シャドウ部分がより暗い、明るさにメリハリのある」画像のことです。
逆にコントラストが弱い画像とは、「ハイライト部分とシャドウ部分の明暗の差があまりない」画像のことです。
トーンカーブで画像の「コントラスト」を調整する場合は、
ハイライト部分を基準線より上にドラッグし、シャドウ部分を下にドラッグして「コントラストを強く」します。 → 「S字カーブ」
ハイライト部分を基準線より下にドラッグし、シャドウ部分を上にドラッグして「コントラストを弱く」します。 → 「逆Sカーブ」
明暗を反転させる
トーンカーブで「明暗を反転」させる場合は、
ハイライト部分を一番下にドラッグし、シャドウ部分を一番上にドラッグします。
→トーンカーブを基準線の対角線に引く
例として、前項で使用した写真の明暗をトーンカーブで反転してみましょう。
トーンカーブで色を変える
トーンカーブでは、色かぶりした(特定の色が過度に強調されている状態)画像などの「色の補正」を行うことも可能です。
トーンカーブで色の補正を行う場合、RGBチャンネルを切り替えることが一般的です。
RGBチャンネルは赤(レッド)、緑(グリーン)、青(ブルー)の3つの基本的な色チャンネルで構成され、これらを個別に調整することで色の補正が行えます。
そして、トーンカーブで色補正を行う上で重要になるのが「補色」の関係です。
補色の関係性を表したのが次の図になります。
例えば、赤みがかった画像を元に戻す補正をする場合、
チャンネルを「レッド」に変えて「レッド」を抑えて、「シアン」を強調します。
青みがかった画像の色の補正
次のような青みがかった画像(シアン / ブルー)を補正する場合、以下の操作を行います。
チャンネルを「レッド」に変えて「レッド」を強調し、「シアン」を抑えます。
チャンネルを「ブルー」に変えて「ブルー」を抑えて、「イエロー」を強調します。
実際にトーンカーブを操作して画像を補正してみましょう。
まずはチャンネルと「レッド」に切り替えて中央にポイントを打って、上にドラッグします。
次に、チャンネルを「ブルー」に切り替えて中央にポイントを打って、下にドラッグします。
青み(シアン / ブルー)が打ち消され、自然な色に近づきましたね。
赤みがかった画像の色の補正
次のような赤みがかった画像(レッド)を補正する場合は、以下の操作を行います。
チャンネルを「レッド」に変えて「レッド」を抑えて、「シアン」を強調します。
実際にトーンカーブを操作して画像を補正してみましょう。
チャンネルと「レッド」に切り替えて中央にポイントを打って、下にドラッグします。
赤み(レッド)が打ち消され、自然な色に近づきました。
黄色みがかった画像の色の補正
次のような黄色みがかった画像(イエロー)を補正する場合は、以下の操作を行います。
チャンネルを「ブルー」に変えて「ブルー」を強調して、「イエロー」を抑えます。
実際にトーンカーブを操作して画像を補正してみましょう。
チャンネルと「ブルー」に切り替えて中央にポイントを打って、上にドラッグします。
黄色(イエロー)が打ち消されて自然な色に近づきました。
トーンカーブの応用の使い方
ここまでは、トーンカーブの基本的な使い方について解説してきました。
ここからは、「画面セレクターの表示切り替えボタン」(指マーク)や「マスク」を使って局所的にトーンカーブを適用する方法をシーンごとにみていきます。
特定の箇所だけ補正する(指マーク)
次のような画像の周りの暗闇を少し明るくしたい場合、全体的に明るくしようとしても「ろうそくの火」とその「周りの手」が白飛びしてしまうのでできません。
一部の明るさを固定しつつ、周りだけ明るさを調整したい場合はどうすれば良いでしょうか?
そんな時に便利なのが「画面セレクターの表示切り替えボタン」(指マーク)です。
まずは、❶指マークを選択した状態で ❷画像の白飛びさせたくない箇所(今回は手のひら)にカーソルを合わせてクリックし、❸トーンカーブにポイントを打ちます。
こうすることで、これ以上明るくしたくない箇所のトーンを固定することができます。
次に、同じく「指マーク」を選択した状態で、明るくしたい箇所(今回は背景の暗闇)をクリックしながら上にドラッグします。
ご覧の通り、先ほどトーン固定した手のひらの白飛びを抑えながら背景を明るくすることができました。
特定の箇所だけ補正する(マスク)
調整レイヤーを使ってトーンカーブで補正をする場合、画像全体が補正されてしまいます。
一部の特定の箇所だけトーンカーブで補正したい場合に困りますよね?
次の写真の猫の「目だけ」に補正をかけたい場合など、特定の箇所のみを補正したい場合は、マスクを組み合わせて使用します。
これにより、トーンカーブの補正が特定のレイヤーにのみ補正が適用され、他の要素には影響を与えません。
❶ まずは、補正を適用する箇所を選択します。(今回はペンツールで選択範囲を作成。)
❷ 今回のように選択箇所が複数ある場合は、選択ツールで「shift」を押しながら全て選択します。
(パスを選択範囲に変換する場合のみ必要な手順です。他の方法で選択する場合は不要です。)
❸ 選択した状態でレイヤーパネル下の新規調整レイヤー作成ボタン( )をクリックして ❹ 調整レイヤー(トーンカーブ)を新規作成します。
すると、選択した箇所がマスクされた状態で新規調整レイヤーが作成されました。
(プロパティが表示されていない場合は、)調整レイヤーの左側のサムネイルをダブルクリックして、トーンカーブで補正を行います。(今回は、カラー補正でグリーンを強調します。)
ご覧の通り、先ほどペンツールで選択した箇所のみトーンカーブの色の補正が適用されていますね。
クリッピングマスクで特定のレイヤーのみ補正する
「特定のレイヤー」のみ補正する方法も、前述した「特定の箇所のみ」補正する方法とほぼ同じです。
次のように、猫の「目だけにマスクをかけたレイヤー」を用意する場合は、クリッピングマスクを使用します。
❶ まずは、複製したレイヤーを用意し、補正を適用する箇所を選択します。(今回はペンツールで選択範囲を作成。)
❷ 「パス」ウィンドウに切り替えて、作業パスレイヤー上で右クリック → ❸ 「選択範囲を作成」をクリック
→ ❹ 「選択範囲を作成ウインドウ」が表示されたらOKをクリック
(❷~❹は、パスを選択範囲に変換する場合のみ必要な手順です。他の方法で選択する場合は不要です。)
すると、ペンツールで囲んだ部分が「選択範囲」になるので、
❺ レイヤーパネル下のレイヤーマスクボタン( )をクリックしてマスクを作成します。
❻ 次に、新規調整レイヤー作成ボタン( )をクリックして ❼ 調整レイヤー(トーンカーブ)を新規作成します。
❽ (プロパティが表示されていない場合は、)調整レイヤーの左側のサムネイルをダブルクリックして、トーンカーブで補正を行います。(今回は、明るさを強調します。)
❾ 補正が終わったら、トーンカーブレイヤーを右クリックして「クリッピングマスクを作成」を選択します。
すると、調整レイヤーで補正した内容が、マスクされたレイヤー(今回は目のみ)に適用されます。
ペンツールで選択したレイヤーだけに補正が適用されて目だけが明るくなりましたね。
スポイトツールを使用する
トーンカーブのスポイトツールは、選択した状態で画像をクリックすることで画像を直接補正することができるツールです。
黒いスポイト、 灰色のスポイト、 白いスポイトの3色があり、それぞれに効果や使用シーンが異なります。
では実際に、次の「少し黄色みがかった画像」を例に、スポイトツールを使用してみましょう。
黒いスポイト を使用する場合
「黒いスポイト」は、クリックした箇所が最も暗いポイントとして設定され、そのポイントを基準にしてトーンカーブが補正されます。
使用シーンは「画像のコントラストを強調させ、より鮮明で引き締まった印象を与えたい」ときです。
画像の「やや暗い箇所」をクリックして、コントラストを強調させてみましょう。
クリック一つで、画像全体が引き締まった印象に変わりましたね。
白いスポイト を使用する場合
「白いスポイト」は、クリックした箇所が最も明るいポイントとして設定され、そのポイントを基準にしてトーンカーブが補正されます。
使用シーンは「画像のコントラストを強調させ、画像全体をより明るくしたい」ときです。
画像の「やや明るい箇所」をクリックして、コントラストを強調させてみましょう。
コントラストが強調され、画像全体が明るい印象に変わりましたね。
灰色のスポイト を使用する場合
「灰色のスポイト」は、クリックした箇所を中間トーンの灰色に補正し、色かぶりを補正します。
使用シーンは「画像の色合いを補正して中間トーンを中立的な色に近づけ、色かぶりを補正したい」ときです。
画像の「中間の明るさ」の箇所をクリックして、色かぶりを補正させてみましょう。
中間の明るさの箇所をクリックすることで、黄色みがかっていた画像が補正されましたね。
最後に
今回はトーンカーブの使い方について初心者向けに解説しました。
トーンカーブは、それひとつで画像の「明るさ」や「コントラスト」「色」の補正が可能な便利なツールです。
ぜひこの記事を読んで、使いこなせるようになってくださいね!
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